足の爪の隙間に溜まる白〜黄白色のペースト状の物体。この「白いカス」の正体は、剥がれ落ちた古い角質(皮膚のタンパク質)、皮脂、汗、そして靴下の繊維クズが混ざり合って凝縮した「爪垢(つめあか)」です。指先に比べて足の爪周りはターンオーバーによって生じた角質が滞留しやすく、垢が溜まる物理的なポケットが無数に存在しています。
しかし、垢そのものが最初から強烈な臭気を放っているわけではありません。悪臭が発生する決定打は、皮膚に存在する「常在菌(ブドウ球菌やコリネバクテリウム属など)」による分解作用です。靴や靴下で密閉された足環境は、温度30℃以上・湿度90%以上に達することが多く、菌にとっては理想的な培養器と化します。
常在菌が爪垢に含まれる脂質やアミノ酸をエサとして貪食・分解する過程で副産物として生成されるのが、特定悪臭物質にも指定されている「イソ吉草酸(イソキチソウサン)」をはじめとする短鎖脂肪酸です。イソ吉草酸は、わずか数ppb(10億分の1)という極めて微量な濃度でも人間の鼻が鋭敏に感知できるほどの刺激臭を持ち、これこそが「熟成した強烈なチーズ臭」や「酸っぱく蒸れた納豆臭」の正体です。