アメリカ社会において国旗は極めて神聖視されており、合衆国法典第4編第1章(4 U.S. Code Chapter 1 - The Flag)に「国旗法(United States Flag Code)」として掲揚や取り扱いの基準が細かく明文化されています。
【合衆国国旗法が規定する主な重要マナー】
- 地面への接触禁止:国旗はいかなる場合も、地面、床、水面、商品に触れさせてはならない。
- 夜間掲揚の制限:国旗は日の出から日没までの掲揚が原則。夜間に掲揚し続ける場合は「適切な照明」で照らし出さなければならない。
- 水平保持・運搬の禁止:パレード等で国旗を水平に広げて運んではならず、常に高く掲げて運ばなければならない。
- 衣服・寝具への流用禁止:本来の規定上、国旗そのものを衣服、寝具、カーテン、クッションなどに仕立て直すことは禁止。
- 損壊時の処分方法:古くなり掲揚に耐えられなくなった国旗は、ゴミとして廃棄せず、「尊厳ある方法(通常は厳粛な手順に則った焼却)」で処分される。
日本人がアメリカ現地を訪れた際、星条旗柄のTシャツ、水着、紙ナプキンなどのグッズが大量に販売されているのを見て違和感を覚えるケースが少なくありません。これは「本物の国旗を加工したもの」ではなく「星条旗の意匠をプリントしたデザイン製品」として法的に区別されているためです。
さらに、1989年の最高裁判決(テキサス対ジョンソン事件)において、「国旗の毀損(旗を燃やす抗議行動など)は合衆国憲法修正第1条が保障する表現の自由の範囲内である」と判示されました。連邦国旗法は法典でありながら刑事罰を伴う強制力を持たず、「国民が自発的に守るべき崇高なエチケット」として機能している点が、アメリカの法哲学の特徴と言えます。