インターネット上の掲示板やレビュー欄を精査すると、「何回使っても白髪が浮いて見える」「全く染まらない」という不満が散見されます。しかし、毛髪診断士やサロン現場へのヒアリングを重ねると、製品自体の性能というよりも、使い方における重大な構造的要因が浮き彫りになってきます。
第一の原因は、髪の表面に付着した油分やシリコンによるコーティング阻害です。市販のしっとり系シャンプーに含まれる高重合シリコンや、洗い流さないトリートメント、スタイリング用オイルが髪に残っていると、染料が毛髪表面に接触できず弾かれてしまいます。色素が定着する土台が物理的に塞がれている状態です。
第二の原因は、塗布量の圧倒的な不足です。通常のヘアトリートメントと同じ感覚で「ピンポン玉1個分」程度を全体に薄く伸ばすだけでは、白髪の芯まで染料が行き渡りません。白髪は黒髪に比べて油分が多く水分を弾きやすい性質(撥水性)があるため、白髪が隠れて見えなくなるほど「たっぷりと乗せる」厚みが必要となります。
そして第三の原因が、製品本来のデメリットに対する認識不足です。カラートリートメントは黒髪を明るく脱色するパワーを持っていません。そのため、黒髪の中にチラホラ混ざる白髪をなじませることは得意ですが、「髪全体を明るい栗色に変えたい」という目的で使用しても、黒髪部分はほぼ変化せず、白髪部分にわずかにニュアンスが乗る程度にとどまります。この脱色力の有無を理解していないことが、「染まらない」という失望を生む最大の温床となっています。