インターネット上の掲示板や簡易的な解説記事では、「ダーツが暴れるなら長いシャフトを使えば誰でも安定する」という言説がまことしやかに語られています。しかし、これは明確な誤解です。
モーメントアームによる復元力は、あくまで「ある程度しっかりとした前進推力(押し出す力)」があって初めて機能する物理特性です。リリースの力が弱いプレイヤーや、ダーツを押し込まずに手首のスナップだけで投げるプレイヤーがミディアム以上の長いシャフトを装着すると、空気抵抗が過剰になり、ターゲットに届く前に矢が急激に失速してボードの下側に垂れ下がるように刺さる原因になります。
また、近年のバレル設計は全長45mm〜50mmを超えるロングバレルが主流化しています。長いバレルにロングシャフトを組み合わせると、ダーツの全長が150mm近くに達してしまい、重心のコントロールが極めてシビアになります。「バレルが長いならシャフトは短めにする」「短いショートバレルには少し長めのシャフトで姿勢を整える」といった、矢全体のトータルバランスを俯瞰する視点を持たなければ、泥沼のセッティング迷子に陥ることになります。