新百合ヶ丘のシネマシーンを語るうえで、大手シネコンであるイオンシネマと並び絶対に外せないのが、新百合ヶ丘駅北口から徒歩約3分の距離に位置する複合文化施設「川崎アートセンター」内の川崎アートセンター アルテリオ映像館です。
客席数113席という親密なサイズ感を持つアルテリオ映像館は、大手シネコンでは上映されないインディペンデント映画、ヨーロッパやアジアの単館系アートシネマ、気鋭のドキュメンタリー、さらには往年のクラシック名作のデジタルリマスター版などを専門に上映する川崎市屈指のミニシアターです。映画館専用に最適化された音響システムと座り心地の良いシアターシートは、コアな映画ファンからも極めて高い評価を獲得しています。
そして、この街が「映画の街」と呼ばれる決定打となっているのが、毎年秋口に開催される市民参加型フェスティバルKAWASAKIしんゆり映画祭 開催日程に連動した熱狂です。1995年に日本映画学校(現・日本映画大学)の新百合ヶ丘移転を契機としてスタートした同映画祭は、市民ボランティアが企画・運営の主力を担い、監督や俳優を招いたトークショー、バリアフリー上映、子ども向け野外上映会など、街全体をスクリーンに見立てた豊かな映画文化を30年以上にわたり育んできました。メジャー大作をシネコンで気軽に楽しむ日常と、アートシネマや映画祭で深い精神的充足を得る非日常――この2層構造が徒歩数分圏内で完結することこそ、新百合ヶ丘という街の真の文化的価値です。