エナジードリンクによる事故は、決して海外の遠いフィクションではありません。医療カルテや裁判記録に残るモンスターエナジー 死亡事例を精査すると、そこには共通する「摂取パターンの罠」が浮かび上がってきます。
世界に衝撃を与えたのは、米メリーランド州で14歳の少女が亡くなった事故です。少女は24時間以内に「モンスターエナジー」の巨大サイズ(米国の710ml缶、カフェイン含有量約240mg)を2本連続で飲用しました。摂取したカフェイン総量は約480mg。成人であれば致死量には程遠い量でしたが、少女には血管の結合組織が脆弱になる潜在的な遺伝疾患(エーラス・ダンロス症候群)がありました。急速に吸収されたカフェインが交感神経を急激に刺激し、致死性不整脈である「心室細動」を誘発したと検視官によって結論づけられています。
さらに注目すべきは、日本国内で発生した2015年の事例です。深夜勤務に従事していた20代男性が、眠気覚ましのためにエナジードリンクを常用し、さらにカフェイン錠剤を併用したことで急性カフェイン中毒に陥り、帰宅後に嘔吐して死亡しました。国内でカフェインの過剰摂取による中毒死が法医学的に確認された初のケースとして、社会に大きな衝撃を与えました。男性の胃内容物や血液からは高濃度のカフェインが検出され、日常的な常用による代謝機能の低下と、短時間での追い打ち摂取が重なったことが直接の死因とされています。
これらの事例が物語るのは、「致死量となる5g」を飲まなくても、基礎疾患、体調不良、医薬品との併用、そして「一気飲み」という悪条件が重なるだけで、心臓の鼓動はいとも容易く狂い、停止へ至るという紛れもない事実です。