心霊写真が社会現象として定着した原点は、1970年代の昭和オカルトブームにあります。作家・心霊研究家の中岡俊哉氏が手掛けた児童向け怪奇本や『恐怖の心霊写真集』シリーズは、当時の子どもたちの間で爆発的な大ヒットを記録し、累計発行部数は数百数万部に達しました。折しも1973年のオイルショックやノストラダムスの大予言の流行など、社会全体に将来への不透明感と終末思想が漂っていた時代背景も、見えない世界への関心を加速させました。
当時、写真は「真実を写す」と信じられていた絶対的な記録媒体でした。フィルムカメラの構造や現像プロセスを一般人が深く理解していなかったことも災いし、印画紙に現れた不可解な光や人影は、そのまま「あの世からの警告」として素直に受け止められてしまった側面があります。さらに、1980年代から1990年代にかけて民放各局がゴールデンタイムで心霊特番を連発し、視聴率20%から30%超を叩き出したことで、メディアと大衆が一体となった巨大なオカルト市場が完成しました。