駅舎および街の核となる建築意匠において、大きな役割を果たしたのが世界的な建築家・隈研吾氏である。高輪ゲートウェイ駅の駅舎デザインには、日本の伝統的な折り紙をモチーフとした大屋根が採用され、障子越しに差し込むような柔らかい光がホームやコンコースを包み込む。木材をふんだんに取り入れた温かみのある設計は、無機質な鉄とガラスで構成されがちな従来の駅空間に新しい風を吹き込んだ。
このデザイン哲学は駅舎にとどまらず、街全体の景観デザインにも色濃く反映されている。緑と木材の融合、風の通り道を考慮した配置計画など、環境負荷を最小限に抑える試みが各所に散りばめられている。従来の鉄道・交通インフラ産業は「人を効率的に運ぶ」ことに主眼を置いていたが、本プロジェクトでは「滞在し、心地よく過ごす」という人間の感性に寄り添う空間設計へとシフトした。交通インフラ企業が主導する都市づくりの新たな到達点と言えるだろう。