日本中に激震が走ったのは、2026年5月18日の早朝でした。『女性セブン』(6月1日号)が発売された当日、ネット上には「市川猿之助のセクハラ・パワハラ」を告発するスクープ記事が配信されました。その後、追随した『週刊文春』の取材報道などでも、澤瀉屋(おもだかや)のトップとして絶対的な権力を握っていた猿之助氏の振る舞いが詳細に報じられることになります。
告発に踏み切ったのは、かつて猿之助氏と同じ舞台に立ち、あるいは公演を支えていた複数の劇場スタッフや若手役者たちでした。証言によると、猿之助氏が主宰する公演の打ち上げや地方巡業先のホテル、プライベートな飲み会の場で、拒否できない立場にある後輩やスタッフに対する過度なスキンシップ、キス強要、下半身への接触などが常態化していたとされています。
伝統芸能の世界において、座頭(トップ俳優)は単なる演者にとどまらず、配役のキャスティング権や劇団スタッフの人選、ひいては関係者の生活基盤までを左右する絶大な権限を持ちます。被害に遭った関係者は「意に沿わない態度をとれば舞台から降ろされる」「仕事を失う恐怖から拒絶できなかった」と当時の苦悩を吐露しています。師弟関係と絶対的な主従関係を背景にした行為は、明確な優越的地位の濫用であり、長年にわたり周囲が沈黙を強いられていた実態が浮かび上がりました。