リアルタイムで90年代のL'Arc〜en〜Cielを知るファンにとって、現在の筋骨隆々とした姿は大きな驚きをもって受け止められています。1990年代中盤から2000年代初頭にかけてのHYDEは、中性的で陶器のような白肌、線の細い中性的なシルエットがトレードマークでした。当時は体重が50kgを切るのではないかと噂されるほど華奢で、どこか儚げなゴシックの象徴として熱狂的な支持を集めていたのです。
では、一体いつから彼は肉体改造へと舵を切ったのでしょうか。その明確な転換点は、2008年に結成されたロックユニット「VAMPS」の始動期、すなわち30代後半から40代手前にかけてです。
自著や当時のロングインタビューにおいて、HYDEは海外進出に伴う過酷なツアー環境と、欧米の屈強なロックアクトたちと対峙した際のフィジカルの格差について率直に語っています。「細いままでは激しいヘッドバンギングやシャウトを何日も続けられない」「海外のオーディエンスをねじ伏せるには、圧倒的なエネルギーと肉体のタフネスが不可欠だ」という強い危機感が、彼をジム通いへと突き動かしました。儚い少年性を意図的に脱ぎ捨て、表現者として生き残るための生存戦略として筋トレを選択した点が、一般的な美容目的のトレーニングとは決定的に異なります。