映画『キングダム』シリーズで秦国の最高権力者・相国である呂不韋を演じた俳優は、日本映画界屈指の名優・佐藤浩市です。原作漫画でも嬴政にとって最大の政敵であり、規格外のスケールと狡猾さを併せ持つ怪物として描かれる難役に、なぜ彼が選ばれたのか。その背景には、制作陣の並々ならぬ執念がありました。
メガホンをとった佐藤信介監督や松橋真三プロデューサーら制作陣が明かした証言によると、呂不韋というキャラクターは「単なる冷酷な悪代官」ではなく、一介の商人から一国の頂点にまで上り詰めた「底知れぬ器の大きさと愛嬌、そして底知れぬ狂気」を同時に表現できる俳優でなければ成立しなかったとされています。原作者の原泰久氏も企画初期段階から佐藤浩市の持つ唯一無二のダンディズムと、獲物を呑み込むような眼光の鋭さを絶賛していました。
佐藤浩市自身、当時の特番インタビューや舞台挨拶で「天下を狙う男のスケール感をどう身体に宿すか。若き王に対峙したとき、ただ威圧するのではなく、余裕と好奇心を持って見下ろす重厚さを意識した」と語っています。脚本の行間から溢れ出る権力者の業を体現できる役者として、満場一致で白羽の矢が立ったのが佐藤浩市というキャスティングの真相です。