一般的なママチャリに採用されている「英式バルブ(ダンロップバルブ)」は、内部のゴム管(虫ゴム)の弾性を利用して空気を閉じ込める仕組みです。構造が単純で安価な反面、高圧に耐えられず、空気圧を正確に測定できないという決定的な欠点があります。これに対してロードバイクやクロスバイクに採用される「仏式バルブ(プレスタバルブ)」は、高圧に耐えうる繊細な弁構造を持ち、レース機材としての精度を保つために設計されています。
両者の構造的な違いを理解する上で最大のポイントは、英式仏式空気入れ違いにおける「弁の開閉方式」です。英式はポンプ側の圧力で虫ゴムを無理やり押し広げて空気を押し込みますが、仏式バルブは中央に通っている金属製の芯棒(バルブコア)の先端にある小ネジを手動で緩めることで弁を開放します。これが仏式バルブ先端を緩める理由であり、このネジを緩めない限り、どれほど強力なポンプでポンピングしても空気の通路は遮断されたままになります。
また、仏式バルブはリム(ホイール)の穴を小さく設計できるため、ホイール剛性を落とさずに軽量化できるメリットがあります。高圧タイヤの性能を限界まで引き出すための合理的な設計ですが、その繊細さゆえに、初めて触れるユーザーが無理な力を加えて芯棒を曲げてしまう事故が後を絶ちません。