本作の骨格を理解する上で欠かせないのが、単行本全26巻(文庫版全14巻)にわたる緻密な心理描写です。大まかなタッチ漫画全巻あらすじを振り返ると、物語は明確な3部構成で成立しています。
第1部は達也・和也・浅倉南の平穏な日常と和也の死まで。第2部はボクシング部から野球部へと転向した達也が、周囲の「和也の影」と葛藤しながら頭角を現す成長劇。そして第3部は、冷酷な鬼監督・柏葉英二郎の就任によって課される過酷な試練を乗り越え、宿敵・須見工業の新田明男と激突する甲子園への道程です。
ここで多くの読者が記憶違いを起こしやすいのが、タッチ甲子園決勝結果とその描写方法です。明青学園は見事に甲子園初出場で全国制覇を成し遂げますが、原作漫画の誌面において甲子園決勝戦のプレイ描写は1コマも存在しません。
準決勝を制したあと、場面は突如として静まり返った部屋に移り変わります。そこには「全国高校野球選手権大会 優勝」の盾が置かれ、テレビからは実況アナウンサーが明青学園の優勝を淡々と伝える声が流れるのみ。試合の勝敗や熱狂そのものではなく、兄・達也が背負い続けた重責から解放された瞬間を描くことに焦点が絞られていました。
そして物語は、今なお色あせないタッチ名言名シーンへと結実します。全国大会終了後、達也が河川敷で南に向かって言い放った「上杉達也は浅倉南を愛しています。世界中の誰よりも」という言葉、それに対する南の「もう一度言って。ごまかされないうちに」という返答。これこそが、和也の死から始まった長大な喪失と再生の物語が到達した、真のタッチ最終回ネタバレの核心でした。