せんべろの醍醐味を肌で感じるなら、長年培われてきた酒場街の空気に触れるのが一番の近道です。日本には東西を代表する「せんべろの聖地」が存在し、それぞれ異なる風情と歴史を誇っています。
東の絶対的聖地:東京・赤羽(OK横丁・一番街)
首都圏におけるせんべろの代名詞といえば、東京都北区の赤羽です。夜勤明けの労働者を迎えるために発達した「朝飲み・昼飲み文化」が今なお息づいており、午前中から暖簾を掲げる名店がひしめき合っています。
名物の鯉・うなぎ料理を串でリーズナブルに提供する老舗や、店頭でおでん種を選びながら出汁割りの日本酒を味わう立ち飲み店など、独自のスタイルが確立されています。近年は駅周辺の再開発が進む一方で、細い路地に入れば昭和の風情が色濃く残り、千円札数枚でハシゴ酒を楽しむ愛好家で連日賑わっています。
西のソウルフード天国:大阪・新世界(ジャンジャン横丁)
関西を代表する聖地が、通天閣の足元に広がる大阪・新世界です。ジャンジャン横丁を中心に、揚げたての串かつや濃厚な牛すじの「どて焼き」を看板に掲げる立ち飲み屋が軒を連ねます。
大阪のせんべろ文化の特徴は、提供スピードの速さと人情味あふれる接客です。大瓶ビールやチューハイが驚くほどの低価格で提供され、隣り合った客同士が自然と会話を交わす距離感の近さがあります。安さだけでなく、職人が目の前で揚げる熱々の串と秘伝のタレが生み出す圧倒的な旨さが、全国のファンを惹きつけてやみません。