白黒をはっきりさせたい読者が最も気になる「少しずつと少しづつどっちが正しいのか」という問いに対し、国の公的基準に基づいた明快な答えを出すならば、「どちらも間違いではないが、国が定める正式な基準は『少しずつ』である」となります。この微妙な力関係の根拠となっているのが、1986年(昭和61年)に改定された内閣告示第1号現代仮名遣いです。
文化庁が示す現代仮名遣いの指針では、語句の表記に「本則と許容のルール」が設けられています。「本則(ほんそく)」とは公用文や学校教育、社会一般で優先して用いるべき本来の規則を指し、「許容(きょよう)」とは長年の慣習として定着しているため間違いとは言い切れない例外的な表記を指します。「すこしずつ」の表記において、文化庁は「ずつ」を本則としつつ、備考欄で「なお、次のようなものは、前項の原則により表記するもののほか、歴史的仮名遣いに基づく慣用として、これによっても差し支えない」として「づつ」を許容に分類しています。
つまり、少しずつと少しづつの違いは単なる個人の好みではなく、「現代の正書法としての本則(ずつ)」と「歴史的慣用としての許容(づつ)」という明確な格付けに基づいています。プライベートな日記や個人のSNSで「少しづつ」と書いても法律違反や重大な誤用ではありませんが、公的な場や対外的なテキストで公式ルールに沿うならば「少しずつ」が唯一の第一選択となります。