日本におけるエジプト関連の展覧会はその後も定期的に開催されていますが、ツタンカーメン展の日本来日履歴を紐解くと、1965年の展覧会がいかに特殊であったかが浮き彫りになります。
特に大きな話題となったのが、2012年に大阪(天保山特設ギャラリー)と東京(上野の森美術館)で開催された「ツタンカーメン展〜黄金の秘宝とファラオの真実〜」です。この2012年展も合計約220万人を超える大ヒットを記録しましたが、展示内容には1965年と決定的な違いがありました。
2012年の展示には、内臓を納めた「黄金のカノポス容器」や棺、装飾品などの一級品が多数出品されたものの、黄金のマスクそのものは来日していません。多くの来場者が「黄金のマスクが見られる」と誤解して会場を訪れるケースが散見されましたが、実際にはマスク以外の副葬品を中心とした構成でした。つまり、日本国内で本物の黄金のマスクが展示されたのは、後にも先にも1965年の1回限りなのです。