卵や乳製品、食用油など食材価格の高騰が止まらない時代において、他社ホテルチェーンの多くが朝食料金を有料化、あるいは値上げに踏み切っています。そうしたなかで、頑なに「完全無料」の看板を下ろさない東横イン無料朝食の理由には、同社が培ってきた独自のビジネスモデルが存在します。
第一の理由は、徹底した効率化と標準化によるコスト削減です。朝食の調理と運営を担当するのは、地域の主婦を中心とした地元採用のスタッフたち。プロの料理人を雇うのではなく、誰でも均一な美味しさを再現できる簡潔なオペレーションマニュアルを確立しています。さらに、全国300店舗以上を展開するスケールメリットを最大限に活かし、食材の大量一括調達を行うことで原価率を極限まで抑え込んでいます。
第二の理由は、「朝食は宿泊代金のオマケではなく、基本インフラである」という創業以来の企業理念です。宿泊客に「行ってらっしゃい」と元気よく送り出すための朝食は、客室のベッドやシャワーと同じく不可欠な基本サービスと位置づけられています。あえて追加料金を取らないことで予約時のハードルを下げ、競合ひしめく宿泊市場で圧倒的な稼働率を維持するための投資として機能しているのです。