過去の大雨水害において被災した住民の手記や報道特番の取材記録を紐解くと、共通して語られるのは「雨の降り方がこれまでの経験と根本的に違っていた」「あっという間に道路が茶色い激流と化し、一歩も外に出られなくなった」という生々しい告白です。
九州豪雨などの被災者手記には、「スマホに警報通知が届いていたが、窓の外を見るとまだ小降りだったため様子見をしてしまった。わずか30分後に轟音とともに水位が膝上まで達し、車で逃げようとした隣人が流されそうになった」という切迫した証言が記録されています。現場の生存者たちの声が突きつけるのは、「人間の視覚や直感による判断は、線状降水帯の急激な雨量増加スピードに追いつかない」という冷徹な事実です。
こうした事態を回避するための強力な武器となるのが、気象庁が提供するウェブツール「雨雲レーダーナウキャスト」と「キキクル(リアルタイム危険度分布)」です。
スマートフォンでキキクルを開くと、土砂災害・浸水害・洪水害のリスクが「黄色(注意)」「赤色(警戒)」「紫色(危険)」「黒色(災害切迫)」のメッシュ(1km四方単位など)でリアルタイム表示されます。浸水被害の恐れがある低地や河川沿い、土砂崩れの危険がある急傾斜地近くにいる場合、自分のいる場所や避難経路が「紫色」に変わる前の「赤色」の段階で動き出すことが、助かるための絶対条件です。