福岡市中央区天神3丁目、親不孝通りのエントランスにそびえ立っていた「ラウンドワン福岡天神店」が営業を終了したのは2021年3月31日のことでした。深夜まで学生や社会人の笑い声が絶えなかった都市型アミューズメントビルの突然の退場は、地元福岡のカルチャーシーンに大きな喪失感をもたらしました。
表向きの大きな要因として挙げられたのは、建物の定期建物賃貸借契約の満了と施設全体の老朽化です。しかし、業界関係者の証言や運営会社である株式会社ラウンドワンのIR決算資料を分析すると、単なる契約期間の終了にとどまらない、構造的な要因が浮き彫りになります。
第1に、2020年から猛威を振るった新型コロナウイルス感染症による深夜営業の自粛要請と、天神エリアの人流激減です。繁華街特有の「飲み会帰りの2次会利用(ボウリングやカラオケ)」という強力な収益源が直撃を受けました。第2に、福岡市主導の大規模都市再開発プロジェクト「天神ビッグバン」に伴う地価・テナント更新コストの上昇懸念です。当時、天神地区ではゲームセンターやレジャービルの閉店・建て替えが相次ぎ、多層階を借り切るメガエンタメ施設にとって、都心部での維持コストと収益性のバランスが著しく悪化していました。
運営元は同時期に不採算店舗のスクラップ&ビルドを進めており、都市型のコンパクト店舗から、広大なフロア面積を確保できる郊外ロードサイド型の体験集中型店舗(ギガクレーンゲームスタジアム等)へと投資の舵を切ったことも、撤退を後押しする決定的な経営判断となりました。