出刃包丁を研ぐ際は、包丁全体の面を一気に研ごうとせず、刃線のカーブに合わせて分割してアプローチすることが肝要だ。ここでは、初心者向け出刃包丁研ぎ直し手順を論理的なプロセスとして分解して解説する。
まず把握すべきは出刃包丁研ぎ方角度の決め方である。一般的な三徳包丁では「峰側に10円玉を2枚挟む角度(約15度)」といった俗説が流布しているが、出刃包丁においてこの固定観念は通用しない。出刃包丁の表面には、平(ひら)としのぎ筋(段差のライン)、そして刃先へ続く切刃が存在する。正解となる角度は、この「切刃の傾斜面を砥石にピタッと隙間なく密着させた角度」だ。指先で切刃の面を砥石に押し当て、切刃の角度そのものをガイドとして砥石を滑らせる。
研ぎの手順は以下の3段階で進める。
1. 切刃の研ぎ(表側):砥石に対して包丁を約45度の角度で構え、刃元・中央部・切っ先の3つのセクションに分けて研ぎ進める。押すときに適度な力を入れ、引くときは力を抜く。切っ先のカーブ(アゴから先端にかけての丸み)に差し掛かったら、柄をわずかに持ち上げて刃線の丸みに砥石面を追従させるのがコツだ。
2. かえり(バリ)の確認:指の腹で裏面を刃先に向かって軽く滑らせ、金属のまくれ(かえり)が刃先全体に均等に出ているかを確認する。引っ掛かりがまばらな箇所は、研ぎが刃先まで届いていない証拠である。
3. かえり取りと仕上げ:刃先全体にかえりが出たら、次のステップである裏面の手入れへと移行する。
釣行直前や調理の直前に素早くコンディションを整えたい場合は、魚をさばく前の切れ味復活法として、仕上砥石(#3000番以上)の上で切刃と裏面を軽く数回滑らせ、刃先の微細なかえりを整えるだけでも、身割れを防ぐ鋭利な切削感が瞬時に甦る。