「フェム(Femme)」のルーツを辿ると、20世紀半ばのクィア・サブカルチャーへと行き着く。当時の同性愛者コミュニティでは、外見や振る舞いによって自らの役割やアイデンティティを表現する文化が育まれた。その中で、一見すると異性愛社会の「典型的な女性」に見えながらも、内面には強いクィア・アイデンティティを秘めた人々が「フェム」と呼ばれてきた歴史がある。
一方で、男装や力強い立ち振る舞いを象徴する「ブッチ」との対比で語られることが多かったのも事実だ。しかし現在では、誰かの対として存在するのではなく、個々の独立した自己表現として肯定されている。受動的と見なされがちだった「しなやかさ」を力に変える姿勢こそが、現代のフェム像の核心と言える。