ミクダヨーという怪物が世に放たれた記念すべき原点は、2011年9月に幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2011(TGS 2011)」に遡ります。セガがニンテンドー3DS用ソフトとして開発していた『初音ミク and Future Stars Project mirai』のプロモーションのため、グッドスマイルカンパニーのデフォルメフィギュア「ねんどろいど」の頭身をそのまま再現した着ぐるみがブースに登場しました。
会場に現れたその姿は、ファンが想像していた可憐で華奢な初音ミクとは似ても似つかないものでした。人間の大人が中に入るために肥大化した丸顔、妙にたくましい体躯、前後に異様な厚みを持つ下半身、そしてどこを見つめているのか判別できない虚ろな瞳。「コレジャナイ……」「あまりにも威圧感が凄すぎる」と会場はざわめき、ネット掲示板2ちゃんねる(現5ちゃんねる)やまとめサイトには即座に写真がアップロードされました。
その際、スレッドの書き込みに添えられた「こんにちは、初音ミクだよー」という脱力したキャプションが強烈なインパクトを残し、瞬く間に「ミクダヨー」という固有の呼称が定着。当初は造形のクオリティに対する落胆の声も一部にありましたが、そのあまりの怪獣じみた迫力から、ネット民の間で「本物の初音ミクを喰い殺して入れ替わった偽物」「金と寿司を要求してくる凶暴な地上げ屋」といったダークな設定が自然発生的に肉付けされていきました。