長年にわたり日本の家庭の味を牽引してきた料理家の栗原はるみ氏も、茄子料理の火加減と油の扱いには特別なこだわりを見せる。
長寿番組として知られるNHK『きょうの料理』をはじめとするメディアでも、茄子の色鮮やかさを保ちつつ短時間でジューシーに仕上げるテクニックが度々紹介されてきた。その最大のポイントは、「焼く直前に油をナスに直接塗る」という逆転の発想だ。
フライパンに油を大量に引き、そこにナスを投入すると、特定の箇所だけが油を吸いすぎてベタついた仕上がりになりやすい。だが、切ったナスの断面にハケや手で薄く油をコーティングしてから熱したフライパンに並べることで、最小限の油量で均一に熱が通り、身がふっくらと仕上がる。家庭での再現性を極限まで高めるプロの知恵と言えるだろう。