2012年の公開当時、映画館の観客を最も混乱と絶望に叩き落としたのが『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のクライマックスでした。荒廃した世界を取り戻すため、碇シンジと渚カヲルは第13号機に搭乗し、セントラルドグマ深層へと降下します。カヲルの計算では、そこには世界を修復するための「カシウスの槍」と、事態を収束させる「ロンギヌスの槍」が1本ずつ残されているはずでした。
しかし、リリスの骸に刺さっていたのは、異様な形状をした「2本ともロンギヌスの槍」でした。カヲルが「おかしい、2本とも形状が変化している」と動揺を露わにしたこのシーンの背後には、冷徹極まりないゲンドウの罠が仕掛けられていました。これがファンコミュニティで長く検証されてきたエヴァQにおける槍が2本だった理由の核心です。
ゲンドウの目的は、シンジに槍を引き抜かせることで第4の儀式(フォースインパクト)を誘発しつつ、ゼーレの少年であるカヲルを第13使徒へと堕として排除することにありました。カシウスの槍が存在していれば世界は修復に向かい、ゲンドウが望む「ユイとの再会」のための補完計画が頓挫してしまいます。事前に何らかの手段を用いてカシウスの槍をロンギヌスへと変質、あるいはすり替えておくことで、ゲンドウはシンジの「世界を元に戻したい」という純粋な善意を逆手に取り、破滅の儀式へと誘導したのです。