原作ファンに大きな衝撃を与えたのが、原作者である井上雄彦監督自身が手掛けた長編アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』だ。本作では、これまで原作で詳細に描かれることのなかった宮城リョータの過去と家庭環境が物語の核として据えられた。
沖縄出身の宮城リョータが背負う、亡き兄・ソータの影と家族の葛藤。コート上で見せる小柄なポイントガードとしての強気な態度の裏に、どれほど深い孤独と痛みが隠されていたのかが明かされた。この裏設定により、山王工業高校との死闘における彼のプレイ一つひとつの重みが一変する。かつてサブキャラクター的な立ち位置として語られることもあった彼が、真の主人公としてスクリーン上で躍動した瞬間であった。
原作者自身が四半世紀の時を経てキャラクターに新たな生命を吹き込むという手法は、アニメ産業にとっても極めて革新的なアプローチとなった。映画を観た後で原作を読み返すと、コマの行間に込められた感情の機微がより鮮明に浮かび上がってくる。