実践女子大学のルーツは1882年(明治15年)、教育者・下田歌子が華族子女を対象に開いた私立女学校「下田学校」(のちに「桃夭学校」と改称)にまでさかのぼる。欧米視察を経た下田は、日本女性の自立と国際感覚の涵養を同時に追い求め、1899年(明治32年)に実践女学校を設立した。創立から125年以上が経過した現在も、建学の精神「品格高雅にして自立自営し得る人材の育成」は揺るがない。
長らく渋谷と日野の二キャンパス体制を維持してきた同大だが、2013年に生活科学部が日野から渋谷へ移転し、段階的に都心シフトが進んできた。そして2025年11月26日、学校法人実践女子学園(理事長:木島葉子)の理事会において、長期構想の一環として「2031年4月をめどに実践女子大学の全学部・学科を渋谷キャンパスへ集約する」という方針が正式に決議された。公式発表プレスリリースによると、この決定は単なるキャンパス統合にとどまらず、「渋谷を拠点とした次の時代の学びへの進化」を目指すものと位置づけられている。
渋谷キャンパスが立地する渋谷区東1丁目一帯は、青山学院大学の校舎が近隣に集積する文教エリアだ。商業施設やカルチャー拠点としての渋谷の顔とは一線を画し、緑と静寂が程よく保たれたこの地区に都内有力女子大のキャンパスを完全集約するという決断は、都市型女子大学のあり方を問い直す象徴的な出来事といえる。