お尻の皮膚は、皮脂腺が多く分泌物がたまりやすい一方で、日常的に体重による強い圧力と下着による摩擦、さらには蒸れに晒され続けています。こうした過酷な環境下でお尻のおできが痛くて座れない原因として代表的な疾患は、主に以下の3つに大別されます。
まず最も身近な疾患が毛嚢炎(もうのうえん/毛包炎)です。毛穴の奥にある毛包部に、黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの皮膚常在菌が侵入して起こる浅い感染症です。初期は小さな赤い発疹や白ニキビのようなプツプツとした形状で、痛みも軽微ですが、圧迫が続くことで炎症が急速に深部へと拡大します。
毛嚢炎が悪化して毛包全体や周囲の皮下組織まで化膿が及んだ状態を「癤(せつ)」、さらに複数の毛包が融合して巨大な病変となったものを「癰(よう)」と呼びます。ここまで進行すると、患部は硬く赤く腫れ上がり、ズキズキと脈打つような強い自発痛が生じるため、腰を下ろすことが極めて困難になります。
一方で、細菌感染とは発症の成り立ちが全く異なる疾患が粉瘤(アテローム)です。皮膚の下に袋状の嚢腫(カプセル)が形成され、本来剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が袋の中に蓄積していく良性腫瘍です。通常時は無痛のしこりですが、袋の中に細菌が侵入したり嚢腫が破裂したりすると「炎症性粉瘤」となり、強烈な腫脹と激痛を引き起こします。