「顔のあの部分」と指を差さなければ伝えられなかった微小な凹凸には、それぞれ固有の由来と学術的な背景が存在する。普段何気なく目にしているパーツの顔のパーツ 正式名称 一覧を紐解くと、人体の驚くべき成り立ちが見えてくる。
代表格が、鼻の直下から上唇の中央へと垂直に伸びる溝である。一般には「鼻の下の溝」と呼ばれるこの部位の人中 正式名称 理由を探ると、東洋医学の経絡思想と解剖学の交差点に行き着く。古代中国の医学書において、鼻は「天の気」を吸い込み、口は「地の気」を食す場所と位置づけられた。その中間に位置する境界線であることから「人の中心」、すなわち「人中(じんちゅう)」と名付けられた歴史を持つ。解剖学・ラテン語では「Philtrum(フィルトラム)」と呼ばれ、胎児期に左右の顔面突起が中央で癒合した際に生じる痕跡器官としての意味合いを持つ。
目元にも、名前を知ると視界が開けるパーツが密集している。日本人の目元を特徴づける目元 部位 名前 涙袋 蒙古襞の領域では、まず目頭のピンク色の粘膜部分に注目したい。この窪みは「涙湖(るいこ)」と呼ばれ、分泌された涙が一時的に溜まる構造を指す。その内側にある小さな隆起は「涙阜(るいふ)」が正式名称だ。そして、多くのアジア人の目頭に覆い被さる皮膚のひだは「蒙古襞(もうこひだ)」、医学的には「内眥贅皮(ないしぜいひ)」と呼ばれる。このひだの張り具合が、平行二重か末広二重かを決定づける最大の物理的要因となっている。
また、若々しさの象徴とされる「涙袋」は俗称であり、解剖学的な実態は下まぶたの縁にある眼輪筋(がんりんきん)の瞼板部が笑った際などに収縮して盛り上がったものである。加齢によって眼窩脂肪が押し出されて生じる「目袋(眼窩脂肪ヘルニア)」とは構造的に全く異なる点に留意したい。
唇周りにも特有の呼称がある。上唇の中央に見られるM字型の美しいカーブは、西洋美術の文脈から「キューピッドの弓(Cupid's bow / キューピッドボウ)」と呼ばれ、唇の赤みと皮膚の境界線は「赤唇縁(せきしんえん)」と定義されている。絵画を描く際にも、この境界線のわずかな光の反射(リップハイライト)を意識するか否かで、唇の立体感は劇的に変化する。