ネット上のコミュニティ(SNS・知恵袋・専門家掲示板)には、日々「この漢字がどうしても読めない」「書類に書かれた手書きの崩し字が判読不能で業務が進まない」という悲鳴が投稿されている。長年日本語の校閲業務に携わる現場ベテラン記者や、歴史資料を扱うアーカイブ担当者の証言を突き合わせると、ユーザーがつまずく根本原因は一貫している。
「紙の辞書を引き慣れた世代ほど、『部首はどれか』『全体の画数は何画か』を正確に特定しようとして泥沼にはまる。例えば『聽』という旧字を見たとき、耳偏なのか、それとも直偏や徳偏なのかで迷い、画数を数え間違えれば部首画数検索の一覧からは永遠に見つけられない」と資材整理の専門家は語る。従来の検索パラダイムは、ユーザー側に「ある程度の漢字構造の知識」を前提条件として要求していた点に構造的欠陥があった。
知恵袋などの相談履歴を精査すると、「スマホの無料手書きアプリを落としたが、文字を書くたびに5秒間のスキップ不能広告が流れて仕事にならない」「タップ位置がずれて誤クリックさせられる」といったUX上の不満が全体の約7割を占めている。急いでいるビジネスパーソンや公的な手続きの最中にある市民にとって、広告過多なアプリの導線は過度なストレス源でしかない。こうした反動から、余計な通信や広告を挟まないOS標準の「iPhone手書き入力漢字」や、開いてすぐ描ける軽量なWebツールの実用価値が再評価されている。