洋服のタグに刻まれた複雑怪奇に見える記号群。その実態は「5つの基本形」と「3つの付属記号」のシンプルな組み合わせに過ぎません。まずはこの構造的アルゴリズムを整理しましょう。
衣類のケアラベルには、世界共通で定められた以下の5大シンボルが左から順に並んでいます。
- 桶(ウォッシュタブ):家庭での洗濯方法(水洗い可否、水温、洗濯機の強さ)
- 三角(トライアングル):漂白剤の使用可否(塩素系・酸素系)
- 四角(スクエア):乾燥のやり方(自然乾燥の干し方、タンブル乾燥の可否)
- アイロン:アイロン仕上げ(上限温度、スチームの有無)
- 丸(サークル):クリーニング店での専用処理(ドライ、ウエット)
ここに、強さを表す「下線(ー)」、温度を表す「点(・)」、そして最も警戒すべき「禁止(×)」が組み合わさります。下線は本数が増えるほど「よりデリケートに扱え(1本=弱い、2本=非常に弱い)」という意味になり、点はアイロンや乾燥機において数が増えるほど「より高い温度に耐えられる(1個=低温、2個=中温、3個=高温)」というルールです。
特に読者からの問い合わせで圧倒的に多いのが、丸の中にアルファベットが書かれた謎のマークです。「丸にP」や「丸にF」はドライクリーニングマークの意味を示しており、Pはパークロロエチレンや石油系溶剤による処理、Fは引火性の高い石油系溶剤のみ可という、専門業者が洗剤ブレンドを判断するための業務コードです。一般の消費者が家庭で真似できる記号ではありません。
また、丸の中にWが描かれているものはウエットクリーニングマークの意味であり、専門業者による高度な技術を用いた特殊な水洗いを指します。「Wマークがあるから家のお風呂場で手洗いできる」と早合点して高級ジャケットを浸水させ、型崩れで再起不能にするトラブルが多発しています。自己流の判断は極めて危険です。