配信動画の中で最も世間に衝撃を与えたのが、谷桃子バレエ団の給料事情でした。「日本のトッププロでありながら、月給が数万円」「チケットを手売りしなければ赤字になる」という告白は、舞台芸術を志す若者たちの夢と現実の乖離を白日の下に晒しました。
実態として、日本の多くの民間バレエ団では「固定給制」が導入されておらず、公演ごとの出演料(ギャランティ)のみが支払われる歩合制が主流です。さらに、一定枚数以上のチケットをダンサー自身が買い取って知人やファンに販売する「チケットノルマ」が慣習として残っており、舞台に立てば立つほど出費がかさむという本末転倒な構造が長年放置されてきました。
谷桃子バレエ団が取り組む改革の現在地と、国内バレエ界の平均的な水準を比較・検証したデータが以下の通りです。
関係者の証言によると、YouTubeチャンネルの収益化や企業スポンサーの新規獲得により、公演ごとのダンサーへの出演手当は大幅に底上げされました。しかし、衣装代やトウシューズ代(1足あたり1万5,000円〜2万円で数日で消耗する)を差し引けば、依然として若手団員の経済的困窮は解消しきれていません。華やかな舞台の陰で、肉体の限界と通帳の残高に怯えながら踊り続ける若者の姿は、日本の芸術文化行政が抱える構造的な欠陥を浮き彫りにしています。