十分に乾燥させた果皮から種を取り除いたら、いよいよ粉末化の工程に移る。ここで仕上がりのテクスチャーと香りの広がり方を左右するのが粉砕器具の選択だ。古くから用いられる伝統的な「すり鉢」と、現代の調理で主流となっている「電動スパイスミル」では、粉砕メカニズムの違いから完成品の風味が大きく異なる。
粉山椒すり鉢とミルの違いを掘り下げると、破砕のメカニズムそのものに行き着く。すり鉢は「すり潰し」によって細胞壁を穏やかに破壊するため、精油が液状に染み出し、非常に芳醇で丸みのある香りが立つ。一方で均一な粉末にするには相応の腕力と時間を要し、繊維質が粗く残りやすい。
対照的に、電動ミルは高速回転するブレードで「切断」を繰り返すため、市販品のようなサラサラとした微粒子が得られる。ただし、モーターと刃の摩擦熱が香りを奪うリスクがあるため、連続して回すのではなく「スイッチを2秒入れて止める」動作を数回繰り返すパルス運転を取り入れるのが、手作り粉山椒の失敗しないコツである。用途や好む食感に合わせて道具を使い分けることが、自家製スパイスを極める近道となる。