地下鉄へのアルミ風船持ち込みが厳しく制限される最大の理由は、アルミ風船が電気を流す「導電性」を持っているためです。見た目はプラスチックのようですが、表面には極めて薄いアルミニウムの金属膜が蒸着されています。これが電線に触れると、金属の棒を直接電線に接触させたのと同じ状態になります。
鉄道の運行を支える架線には、直流1,500V(一部路線では剛体架線方式)という高圧電流が常に流れています。ヘリウムガスで浮遊するメタリックバルーンが子どもの手から離れ、駅ホームの天井付近にある架線と車両のパンタグラフ、あるいは線路の構造物に触れた瞬間、激しい火花とともに架線ショート(短絡)が発生します。
架線がショートすると、変電所の安全装置が作動して送電が瞬時に遮断されます。その結果、走行中の電車が一斉にストップし、駅構内やトンネル内が停電に見舞われます。それだけでなく、高熱のアーク放電によって架線自体が焼き切れたり、溶損した金属片が火の粉となってホーム上に降り注ぐなど、乗客や駅係員が感電・火傷を負う重大な人身事故へと発展する危険性を孕んでいるのです。