当取材班は、大手人材紹介会社や地域ハローワークで実際に再就職活動を経験した当事者たちへの追跡ヒアリングを実施しました。そこで浮き彫りになったのは、性別や経歴によって異なる過酷な現実です。
都内の大手IT関連企業で部長職を務め、早期退職した男性(54歳)は次のように手記を寄せています。
「退職金が出た当初は『これまでの経験があれば中堅企業なら引く手あまただろう』と高をくくっていました。しかし応募した45社中、面接まで進めたのはわずか2社。エージェントからは『あなたのマネジメント手法は前職の大組織だから通用したもので、中小企業では自ら手を動かす実務力が求められます』と手厳しく指摘されました。深夜の書斎で一人、自己否定の波に押しつぶされそうになった日々は地獄でした」
一方で、子育てを終えて正社員への復帰を目指す50代女性の道のりも平坦ではありません。大手求人サイトの担当者によると、50代女性の正社員求人は事務職を中心に倍率が数十倍に跳ね上がります。ブランク期間が10年以上ある場合、応募書類だけで不採用通知が機械的に送られてくるケースが日常茶飯事です。
都内でパートから医療法人の正社員事務として再就職を果たした女性(52歳)の証言は示唆に富んでいます。
「一般事務に100社応募してもダメでした。方針を転換し、国が支援する教育訓練給付金を使って『医療事務』と『ITパスポート』を取得。さらに地域密着型クリニックの立ち上げ支援というニッチな求人に絞り込みました。面接では『雑用を含め、現場のスタッフが働きやすくなる環境を裏方として支え抜く』と伝えたところ、即日内定をいただきました。自分のこれまでの主婦経験を『サポート力』として再定義できたことが転機でした」