彼女の歩みを語る上で欠かせないのが、2016年春に開催された「BSスカパー! BAZOOKA!!! 第9回高校生RAP選手権」です。男性MCが中心だったバトルの現場に、金髪にフルメイク、圧倒的な存在感を放つ女子高生ラッパーとして登場した彼女は、瞬く間に視聴者と審査員の目を釘付けにしました。
「練馬のビヨンセ」という異名がメディアで一人歩きする中、現場で放たれたラップスキルは本物でした。彼女のバックボーンを調べると、その音楽性の深さに納得がいきます。本名は乙茂内美奈(おともない みな)。日本人の父親と韓国人の母親(元バレリーナ)を持ち、幼少期からピアノやバレエ、声楽など厳格な英才教育を受けて育ちました。韓国と日本を行き来する家庭環境の中で、小学校入学直後に日本語が不自由だったことから壮絶ないじめに遭った過去を持ちます。
自著や当時の独占告白において、彼女は「逃げ場がなかった私を救ってくれたのは、BIGBANGをはじめとするヒップホップだった」と語っています。クラシックで培った正確なリズム感・メロディ構築力と、差別や疎外感の暗闇から生まれたストリートの言葉。その二つが融合したからこそ、高校生RAP選手権での躍進からわずか1年足らずでメジャーレーベルとの契約へと至る驚異的なスピード展開が実現したのです。