富士山南西麓に広がる富士宮市は、標高約100メートルの市街地から3,776メートルの富士山頂まで、日本一の高低差を有する類まれな地形を有しています。古くから全国約1,300社の浅間神社の総本社である富士山本宮浅間大社の門前町として栄え、国の特別名勝である白糸の滝や、富士山信仰の歴史と文化を世界に発信する静岡県富士山世界遺産センターなど、世界文化遺産の構成資産を複数抱える文化と自然の要衝です。
かつての観光といえば日帰りの参拝や富士登山が主流でしたが、近年は体験型・長期滞在型の需要が定着しました。広大な牧草地が広がる朝霧高原のキャンプ場群は、年間を通じて富士のパノラマを愉しむアウトドア拠点として高い人気を誇り、週末には都心ナンバーの車両が列をなします。さらに、ご当地グルメの金字塔である富士宮やきそばをはじめ、湧水で仕込まれた日本酒や高原の新鮮な乳製品など、食の豊かさそのものが人を呼び寄せる強力な磁力となっています。
特筆すべきは、観光を起点としてこの地に魅了された人々が、そのまま生活の場として富士宮市を選び取る流れが確立された点です。新富士駅から新幹線を利用すれば東京まで約1時間という通勤圏でありながら、日常に溶け込む圧倒的な借景と豊かな水源が、都市生活者の心境に大きな価値転換をもたらしています。