仕事の疲労や年齢のせいだと自己判断して受診を先延ばしにすることは、極めてリスクが高い。聴神経に発生する腫瘍の多くは、平衡感覚を司る前庭神経の鞘(シュワン細胞)から発生する。病理学的には前庭神経悪性・良性腫瘍のカテゴリーにおいて大半が良性に分類されるものの、「良性だから安心」と言い切ることはできない。
頭蓋骨という限られたスペースの中で腫瘍がゆっくりと拡大すると、聴神経だけでなく隣接する顔面神経や三叉神経、さらには脳幹を圧迫し始める。昨今、各種の医療・健康情報メディアでも「放置された片側耳鳴りの危険性」が頻繁に取り上げられているが、発症初期の段階で正しく異変を認識しなければ、不可逆的な聴力低下や平衡感覚の障害を招く事態に繋がりかねない。