「泊まれる本屋」心斎橋の閉店理由と現在|ブーム終焉の真相を追う

「泊まれる本屋」心斎橋の閉店理由と現在|ブーム終焉の真相を追う

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ネット上の一部では「人気絶頂のなかで突如逃げるように消えた」といった憶測も飛び交いましたが、これには明確な企業財務と組織再編の背景が存在します。

BOOK AND BED TOKYOを手掛けたのは、不動産セレクトショップ「R-STORE」を運営していた株式会社アールストアです。同社は不動産仲介の枠を超え、空間のプロデュース力を武器にホスピタリティ産業へ参入。池袋の1号店を皮切りに、浅草、京都、福岡、心斎橋、新宿へと急拡大を続けました。

しかし、直営展開による多店舗化は、施設の内装投資に伴う多額の減価償却費と、繁華街の一等地における高額な月額賃料を伴うリスクを孕んでいました。コロナ禍による売上蒸発が直撃した結果、運営会社はキャッシュフローの急激な悪化に直面。2020年から2021年にかけて事業再生や店舗整理を余儀なくされ、地方拠点であった福岡・京都・心斎橋からの撤退という苦渋の決断を下すに至ったのが運営会社の経緯の真相です。

「体験を売る」コンセプトホテルは、ブーム期には高いPR効果を誇る反面、固定資産とオペレーションコストを回収し続けるための「平常時の高い基礎稼働」が不可欠です。外的要因による需要急変への耐性の低さが、鮮烈なブランドであっても早期撤退を招いた最大の盲点でした。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。