江戸の庶民の基本スタイルは、朝に一度だけかまどでご飯を炊き、その炊きたてを朝食に食べるというものでした。朝食の定番献立は、炊きたての白米、豆腐やワカメの味噌汁、香の物(たくあん等)というシンプルな「一汁一菜」です。
朝残ったご飯は「おひつ」に移され、昼には冷やご飯に冷たい茶や味噌汁をかけて流し込み、夜には熱い茶漬けや湯漬けにして、焼き魚や煮物などの惣菜(おかず)を添えて食べるのが一般的なサイクルでした。
また、江戸の食卓を決定的に変えたのが野田や銚子で醸造された「濃口醤油」の誕生です。それまで上方(関西)から運ばれていた淡口醤油に対し、関東の濃口醤油は魚の生臭さを消し、しっかりとした旨味と塩気を与えることができました。この醤油の進化が、後の江戸前料理の爆発的な発展を支えることになります。