山登りの概念を根底から覆した元祖といえば、順天堂大学の今井正人だ。2000年代半ば、彼は5区で脅威の3年連続区間新記録を樹立し、メディアとファンから初めて「山の神」の称号を贈られた。それまで耐え忍ぶ耐圧区間と捉えられていた5区を、一転して「ごぼう抜きで一発逆転を狙う花形区間」へと変貌させた功績は計り知れない。
その伝説をさらに神話の領域へと押し上げたのが、東洋大学陸上競技部で4年連続5区区間賞を獲得した柏原竜二だ。急坂を感じさせない力強いストライドと、前を行くランナーを次々と捉える圧倒的な狩猟本能。チームを何度も逆転優勝へ導いた彼の走りは、山登りにおける絶対的エースの象徴となった。
そして2015年、軽量な身体を活かした高速ピッチで箱根の山を切り拓いたのが青山学院大学陸上競技部の神野大地だ。旧コース時代に叩き出した驚異的な区間記録は「三代目」の降臨を強く印象づけた。今井、柏原、神野――この3名が刻んだ足跡こそが、山の歴史そのものだ。