現地を訪れる観光客や修学旅行生が最初に対面した際、多くの人が驚くのは「彫刻の並び順」と「配置の事実」です。口頭の慣用句では「見ざる、聞かざる、言わざる」あるいは「見ざる、言わざる、聞かざる」と語られますが、神厩舎の実物を左から観察すると、その配置は明確です。
左側にいるのが両手で目を覆う「見ざる」、中央にいるのが両手で口を覆う「言わざる」、そして右側にいるのが両手で耳を覆う「聞かざる」です。向かって左から順に見ると「見ざる・言わざる・聞かざる」の順番で並んでいます。
現場を訪れた参拝者の証言やSNS上のリアルな声を集約すると、次のような現場ならではの気づきが浮かび上がります。
「教科書やポスターのドアップで見慣れていたので、巨大な木像を想像していたら、神厩舎の屋根の下に帯状に彫られていて思いのほかコンパクトだった。混雑している日は双眼鏡がないと細部の表情まで見落としてしまう」(40代・歴史ファン)
「ガイドさんの解説を聞いて初めて8面全部を見た。第5面の落ち込んだ猿を友達が慰めている姿が現代の自分と重なって、思わず涙が出そうになった。三猿だけ見て帰るのはあまりにもったいない」(30代・参拝者)
また、参拝ルートの盲点として、神厩舎は表門(仁王門)をくぐってすぐの広場左手に位置しています。多くの来訪者は国宝の陽明門へ急ぐあまり、神厩舎の前で足を止める時間が極めて短くなりがちです。混雑する午前10時から午後2時前後の時間帯を避け、朝一番の澄んだ空気の中で8面をじっくり読み解くことこそ、現地を訪れる最大の醍醐味といえます。