従来の「一生涯の完全除去」一辺倒だった診療指針から、2026年現在は「安全な閾値を広げ、誤食時の重篤化を防ぐ」積極的アプローチへとパラダイムシフトが起きています。
1. 経口免疫療法(OIT)の進展と注意点
ナッツアレルギーの経口免疫療法は、アレルゲンを微量から計画的に摂取させ、体を慣らしていく治療法です。欧米ではFDA承認を受けたピーナッツ粉末製剤などが実用化されており、日本国内でも専門のアレルギー拠点病院を中心に臨床研究や自由診療下でのプロトコルが進められています。
ただし、経口免疫療法は「完治(いつでも好きなだけ食べられる状態)」を目指すものだけでなく、「誤って口に入った場合のアナフィラキシー発症を防ぐ(閾値の上昇)」ことを主目的とするケースが多いのが実情です。治療中にもアレルギー反応が起きるリスクがあるため、アレルギー専門医の完全管理下で実施されます。
2. 抗IgE抗体薬(生物学的製剤)との併用療法
重症アレルギー疾患に用いられる生物学的製剤(オマリズマブ等)を併用し、免疫療法の安全性を高めながら脱感作を促す治療研究が世界的に注目を集めています。複数のナッツ類に多重アレルギーを持つ難治例に対しても、有効な治療選択肢としてエビデンスが蓄積されています。