本誌が独自に入手したツアー楽屋での独占エピソードがある。ステージに上がる直前、長渕は静かにパイプ椅子に座り、数分間にわたり目をつむる。そこには一切の雑音が入り込む余地はない。
ある日、若手スタッフが緊張の面持ちで機材の最終確認に訪れた際、長渕は声を荒らげるどころか、優しくその肩を叩き「客の顔をよく見て来い。俺たちの命を聴きに来てるんだ」と静かに語りかけたという。「昔は自分ひとりで背負っている気でいた。でも今は、客席とステージが一体になって初めて曲が完成すると思っている」。楽屋裏で見せたその素顔には、荒々しさの奥にある深い慈愛と、歌にかける覚悟が滲み出ていた。