坂上二郎さんといえば、両手を小鳥のようにパタパタと羽ばたかせながら甲高い声で放つ「飛びます、飛びます」のギャグが代名詞です。このギャグは緻密に計算されたものではなく、舞台上でのアドリブから偶発的に誕生したものでした。
コントの最中、萩本さんの猛烈な追い込みに窮した坂上さんが、逃げ場を失ってとっさに飛行機の離陸を真似て羽ばたいたところ、客席が大爆笑に包まれたことがきっかけでした。身体能力の高さを生かした躍動感あふれる動きと愛らしい表情のギャップが、日本中の子どもからお年寄りまでを虜にしたのです。
1970年代以降はピンでの俳優活動にも注力し、TBS系の人情派刑事ドラマ『夜明けの刑事』で主演の鈴木勇刑事役を務めました。ドジで涙もろいが心優しい刑事像は視聴者の深い共感を呼び、ドラマは大ヒットを記録。主題歌「夜明けの街角」を自ら歌い上げ、若い頃に磨いた抜群の歌唱力がお茶の間を魅了しました。山田洋次監督の映画『学校II』などにも出演し、コメディアンの枠を超えた名バイプレイヤーとして確固たる地位を築きました。