『がんばっていきまっしょい』の原点は、敷村良子氏が自身の母校である愛媛県立松山東高等学校での実体験をもとに執筆し、第4回坊っちゃん文学賞大賞を受賞した小説にあります。
物語の核心となるあらすじは、女子ボート部が存在しなかった松山第一高校に入学した村上悦子(通称・悦ネエ)が、男子部員たちを見返すために自らの手で「女子ボート部」の設立を決意するところから始まります。集まった仲間は、おっとりとしたお嬢様風のヒメ、クールで意志の強いリー、小柄で負けん気の強いダッコ、そしてマイペースなイモという、性格も運動能力もバラバラな5人でした。
キャプテンであり艇の指揮・舵取りを担うコックス(舵手)を務める悦ネエと、オールを漕ぐ漕手4人。当初は息も合わず、練習艇「カモメ号」を真っ直ぐ進めることすらできませんでした。時に部員同士の激しい衝突や怪我、学業との両立に悩みながらも、彼女たちは早朝の三津浜の海へ船を出し、オールを握り続けます。物語のクライマックスでは、挫折を乗り越えて心を一つにした5人が、強豪校が集まるインターハイ予選で限界を超えた漕艇を見せます。
作品を決定的に際立たせているのが、愛媛県松山市のリアルな風土とロケ地描写です。夏目漱石の『坊っちゃん』ゆかりの地であり、伊予鉄道のレトロな車両、三津浜港の古い木造造船所、城山から見下ろす松山城の景色が物語の情緒を深めています。松山東高校に実在する伝統の掛け声「がんばっていきまっしょい!」「しょーい!」という言葉は、単なるスローガンではなく、困難な現実に直面した少年少女が自分自身を鼓舞するための合言葉として、読者や視聴者の胸に深く刻まれています。