施肥の効率を左右する要素が、茄子の追肥時期の厳守と投入位置の正確性です。苗の定植直後に慌てて追肥を施すと、根が活着する前に肥料焼けを起こし、生育遅延を招きます。追肥の号砲を鳴らすべき最初の節目は、「1番果(最初に結実した果実)の収穫時」、もしくは果実がピンポン玉サイズに膨らんだ段階です。この時期から株の栄養消費ペースが急激に跳ね上がります。
与える場所に関しても、初心者が最も陥りやすい落とし穴が存在します。株元の茎の根元にパラパラと肥料を撒く行為は、百害あって一利なしと言わざるを得ません。ナス科植物の根系は、地上部の葉の広がりとほぼ同じ半径で放射状に地下へ展開しています。養分や水分を活発に吸収するのは、新しく伸びた微細な側根の先端部(毛細根)であり、株元の太い主根は支持作用がメインで肥料を直接吸収しません。株元に高濃度の肥料を置くと、浸透圧の逆転によって根の細胞から水分が奪われ、根枯死を引き起こします。施肥は必ず「一番外側の葉の先端の真下」に沿って施すのが鉄則です。
土壌乾燥や雑草防止のために敷設する黒マルチを用いた追肥の場所とマルチ栽培では、施肥の手順に工夫が求められます。マルチを全面的に張っている場合、以下の2つの手法が確実です。
- マルチの縁めくり施用:畝の両肩部分のマルチを軽くめくり上げ、露出した土壌へ肥料を帯状に散布したのち、軽く中耕(土と肥料の混和)してマルチを戻す。
- ホール施肥:株と株の中間地点、あるいは畝肩のマルチに穴開け器等で直径2〜3cmの穴を空け、そこから規定量の肥料を流し込んで散水する。
畝の通路部分(畝間)まで根が到達している7月以降であれば、通路に直接肥料を散布し、土を軽く被せておく「通路施肥」も根の伸長を促す極めて有効な手法となります。