「今の学生は、僕らの現役時代とは比べものにならんほど戦術理解が早い」。そう語るのは、かつて関西学院大学を数々の日本一へ導き、現在は精緻な解説で知られる名将・鳥内秀晃氏だ。同氏が指摘するシーズンの戦術トレンドは、スピードと判断精度を極限まで高めた「ハイスピードRPO(ラン・パス・オプション)」の進化にある。
クォーターバックがプレイ展開の直前にディフェンスのキーマンの動きを読み取り、瞬時にランとパスを切り替える。この戦術の精度が向上したことで、守備陣はコンマ数秒の迷いも許されなくなった。現代のアメリカンフットボールにおいて、フィジカルの強さは前提条件に過ぎない。盤上のチェスさながらの高度な知略戦を、極限の緊張感の中で実行できるメンタルと戦術実行力こそが、勝敗を分ける鍵となっている。