松本清張の不朽の名作を映画化した『ゼロの焦点』においても、木村多江の存在感は圧倒的だった。時代の波に翻弄され、暗い過去を抱えながら懸命に生きる女性の生き様を、儚くも力強く演じている。
この重厚なサスペンス映画の中で見せた官能的な濡れ場は、ミステリーの謎と密接に絡み合い、物語に抗いがたい緊張感をもたらした。雪深い景色や昭和の影を背負ったスタイリッシュな映像美の中で、彼女が放つ艶やかな佇まいは、まさに日本の官能美の極致と言える。スクリーンに漂う静かな狂気と情念は、今なお多くの映画ファンの間で語り継がれている。