二人の冷え切った関係に決定的な転機をもたらしたのは、主人公・竈門炭治郎の介入と、原作第136話およびアニメ『柱稽古編』で描かれた一連の出来事でした。
義勇の心の殻を破った炭治郎は、実弥との和解を図るべく奇想天外な提案を行います。それがファンの間で語り草となっている「さねぎゆ おはぎ エピソード」です。実弥の好物が「おはぎ」であることを知った炭治郎が、「懐におはぎを忍ばせておいて、実弥さんが怒ったらスッとおはぎを差し出せば仲良くなれる」と義勇に大真面目に進言。義勇もまたそれを至極真面目に受け止め、「実弥はおはぎが好きなのか……」と懐におはぎを忍ばせる決意を固めるという、シュールかつ微笑ましい場面が描かれました。
その後、柱稽古において二人は木刀を手に激突します。アニメ『柱稽古編』第6話・第7話では、ufotableによる圧倒的な映像クオリティと音響演出により、互いの技量を認め合うかのような激しい打ち合いが描かれました。風と水、互いに一切の手加減をしない真剣勝負を通じて、言葉では伝えきれなかった武人としての矜持と実力を肌で理解し合うことになります。
公式スピンオフ小説『鬼滅の刃 風の道しるべ』では、実弥がかつて命を落とした親友・粂野匡近(くめの まさちか)との絆が詳細に描かれています。実弥にとって匡近は、かつて自らの荒んだ心を救ってくれたかけがえのない存在でした。義勇における錆兎と同様に、「親友の死」という消えない傷を抱える者同士、深層心理において二人は誰よりも似通った痛みを共有していたのです。