この地の魅力は、雄大な景観だけにとどまらない。文人墨客が足を止めた歴史の痕跡が、今も随所に刻まれている。江戸時代の俳人・小林一茶もまた、この厳しい峠越えの途中で句を詠み、旅の情景を後世に残した一人だ。一茶が感じ取った自然への畏敬や温かなまなざしは、現代の私たちが歩く散策路の傍らにも脈々と受け継がれている。
山道の傍らにひっそりと佇む句碑や案内板を辿ることで、単なる景勝地巡りを超えた深い歴史体験が得られる。樹齢を重ねた大木が木漏れ日を遮る道すがら、句に込められた当時の旅人の苦労や情緒に思いを馳せる時間は、贅沢なひとときと言えるだろう。